認知症について

加齢と共に認知や精神機能も変化していく。高齢者の1~2割が認知症になるといわれるが、認知症になると自立した生活は困難となる。記憶の流れの中である期間の記憶がごっそりと抜け落ちる記憶障害、見当や判断の障害といった認知能力の低下は生活に支障をきたす。それ以上に問題となるのは精神症状、妄想・幻視・怒り・いらいら・不安・悲観などの感情障害といわれる。認知症のリスクファクターからみた予防策、認知機能の低下を抑える方法について述べる。

認知症のリスクファクター(www.thelancet.com Vol 396 August 8, 2020)

1.高血圧・糖尿病・肥満

2.過度の飲酒・喫煙・空気汚染・頭部外傷・歯周病

3.運動不足・低学歴/勉強ぎらい

4.難聴・うつ病・引きこもり

予防のポイント

1.脳血管血流に障害をきたすものをコントロールする。

2.脳に悪いことを減らす。

3.脳に良いことを続ける。

4.社会との関わりを維持する。

対処法

1.かかりつけ医を受診して、脳血流を悪くする病気をコントロールする。 

(1)収縮期血圧を130 mm Hg未満に維持する。

(2)血糖値の乱高下を抑え、適正な範囲に維持する。

(3)減量:mass index [BMI] を18.5–25 kg/m²に維持する。

2.脳に悪いことを減らす。

(1)節酒:1週間当たりのアルコール量を21 units (168 g)以内に抑える。

   毎日晩酌として日本酒ならば1合まで、350mlビール缶なら1本まで、

   ワインならグラス2杯程度となる。脳だけでなく、肝疾患や癌予防にもなる。

(2)禁煙:脳だけでなく、肺疾患や癌予防にもなる。

(3)環境対策:カラダにとっての危険物を吸い込むと、あっという間に血流に乗って

   カラダを巡る。職場で危険物を扱っていないか。扱っている場合の対策は十分だろうか。

(4)頭部保護:頭部にけがしやすい状況では、頭を守る対策をとる。

(5)口腔ケア:歯周病菌であるギンギバリスが全身の炎症に加担し、アミロイドβの増加に

   関わっているという報告がある。脳だけでなく、歯を守るため、誤嚥を避けるためにも

   有益である。

3.脳に良いことを続ける。

(1)汗ばむほどの運動をすると身体だけでなく脳にも刺激を与える。

   動かざるをえない環境に身をおく。

(2)生涯学習や趣味を通して脳に刺激を与え続ける。

(3)脳のメンテナンスのために、質の良い睡眠を7-8時間取る。

4.社会的接触を維持する。

(1)補聴器を活用して、脳に刺激を入れる。

(2)社会と関わる事を楽しむ。 (3)ストレスをうまく処理する。


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