入浴には疲労回復効果がある。但し、高齢者では注意が必要だ。浴室は滑りやすく、段差があって危険な場所でもあるからだ。そして、最近市民権を得てきたヒートショック。11月から2月ごろ、暖かい居間等から気温が低い浴室やトイレへ移動すると末梢血管が収縮して、高血圧症、心筋梗塞、脳梗塞等を引き起こすことがあるので注意が必要だ。入浴も命がけにならないよう、入浴に関わるトラブル予防策をまとめた。
入浴関連のトラブルチェックリスト
1.浴室で転倒しそうになった。
2.浴槽から立ち上がるのがきつい。
3.入浴中に寝て溺れそうになった。
4.浴槽から出た後に気分が悪くなった。
どれか一つでもあれば要注意。
改善のポイント
1.体幹の保持や下肢の筋力、バランス能力を養う。
2.下肢の異常、視力の異常に留意する。
3.環境リスクに留意する。
4.薬剤の副作用に留意する。
対処法
1.筋力・バランス能力の評価とトレーニング
(1)評価(https://yukaigoblog.com/fall-prevention/)
ア.指輪っかテスト
イ.開眼片足立ち時間
ウ.Timed up & goテスト
(2)トレーニング(https://youtu.be/H120wY3Lc9A)
(3)それでもきつい時
ア.手すりがあっても浴槽から立ち上がるのがきつい。
両手は浴槽の縁や手すりにおき、両手のライン上にあぐらになる。
頭を前のめりにすると重心が前に移動し浮力と相まって、お尻が浮く。
あぐらの前足を前に進めて立ち上がる。
イ.下着を脱ぐ ・つけるとき、片足立ちになると転倒しやすい。
体の一部を壁や椅子などに触れると、支持基底面積が広くなり安定する。
2.下肢の異常や視力障害を感じたら受診する。
(1)股・膝・足関節の異常、下肢筋力の左右差を感じたら整形外科へ。
(2)視覚の明瞭度が低下したと感じたら眼科へ。
3.環境対策
(1)エアコンを活用して部屋間の温度差をなくす。
(2)バリアフリー(引っかからないよう段差を解消する)
(3)補助用具(手すり/ /リフト)
ア.転倒防止のために手すりを検討する。
イ.浴槽内に滑り止めマットを敷く。
(4)長風呂禁止(ぬるめのお湯に10分以内)
4.降圧薬/抗パーキンソン薬/眠剤/抗精神薬/抗糖尿病薬等を処方されている方で、
血圧が下がりすぎている、力が入りにくい、ねむい、冷や汗が出るなどの異常を感じたら受診する。内服薬の変更、量の変更、服用時間の変更など指示があれば従う。
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