最近、指先のカサツキが目立つようになった。老化の始まりは皮膚にも現れるといわれる。加齢と生活環境・習慣によって皮脂が欠乏すると、皮膚の表面にある角層の水分量が減ってひび割れがおきドライスキンになる。ドライスキンは皮膚のバリア機能がいたんだ状態で、放置すると異常な痒みや新たな皮膚病を引き起こす。治療が必要な場合は受診していただくとして、日常でできる予防法について述べたい。
ドライスキンのチェックリスト
1.皮膚のカサツキが目立つ
2.スキンケアをしてもすぐ乾く
3.湿疹などないのに痒い
4.引っ掻きすぎて湿疹ができる
一つ以上該当したら、ドライスキンのリスクがある。
改善のポイント
1.皮膚の潤いを保つ
2.熱すぎず、洗いすぎず、こすりすぎず
3.室内の温度・湿度管理を適正に
対処法
1.保湿薬
十分な量をやさしく塗る、擦りこまない。
保湿薬1gを手のひら4枚分に拡げて塗るのが適正といわれる。
保湿薬1gとは、指先から第1関節までチューブより2回絞り出した量である。
入浴後は急速に皮膚から水分が蒸散するため,時をおかず数分以内に保湿薬を塗る。
尿素製剤は刺激性があり注意が必要である。
2.入浴時に気をつけること
(1)皮膚表面の細菌,汗やホコリ,外用薬などが刺激となることがある。入浴時に皮膚を
洗って清潔を保つことは重要だが、頻回に洗うと皮脂がぬけて逆効果となる。
お湯の温度が高いと皮脂は溶けだし,バリア機能が低下する。
皮膚バリア機能を回復させる至適温度は、36~40℃がである。入浴時の湯温はおお
むね38~40℃がよい。
長時間湯船につかると皮脂が溶けだすので、短時間を心掛ける。
(2)界面活性作用の強い石鹸やボディーソープは隔日で使用する。
汗だけなら水で洗い流せるため,石けんなどの洗浄剤は不要である。
(3)ナイロンタオルやボディブラシなどの硬い素材で皮膚をこすって洗うと,皮膚バリ
アが傷害され、角層がさらに乾燥する。
石けんや洗浄剤をよく泡立て,泡を手に取り手のひらで優しく洗う。今はやりの摩擦レスがよい。また,石けん,シャンプー,リンスなどのすすぎ残しも皮膚への刺激になるのでよくすすぐ。
3.気密性の高い住宅環境下では,高温低湿度化して皮膚が乾燥しやすくなる。
過度の暖房は部屋の湿度を低下させる。適宜加湿器や濡れたタオルを干して、湿度を
50-60%に維持するとよい。
エアコンやファンヒーターによる暖房では、吹き出し口からの温風が直接当たると、
さらに乾燥が強くなるので注意が必要。
こたつも皮膚を乾燥させるので適切な使用を心がける。
4.痒み
一般に,痒みは皮膚への物理的刺激や42℃以上の温熱刺激で誘発されることが多い。
ウール素材やゴワゴワした肌触りの素材の衣服は避けて、柔らかく肌触りのいい素材
の衣服を選択する。
髪の毛の先端部の接触などの軽微な刺激でもかゆみを生じるため,髪の毛を短く切る、
髪の毛を束ねるなどの工夫をする。
皮膚が乾燥した状態に汗をかくと,汗の刺激で痒みや湿疹が起こりやすくなる。季節の
変わり目などには,薄着の重ね着を心掛けて,暑いと感じた時や汗ばんだ時には上着を
脱ぐなど,こまめに調節する。
過度のアルコールや唐辛子などの辛いものをとると痒みが強まることがあるので、
ほどほどにする。
5.改善しない時は皮膚科を受診する。
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